■「ITday Jpana 2019」で3つのソリューション提案をします
「ITday」は、ダグラス・エンゲルバートの「The Mother of All Demos(すべてのデモの母)/The Demo(ザ・デモ)」を記念する世界的なシンポジウムです。1968年12月9日、ダグが「人間の知性を高める研究の核心」というテーマで行なったThe Demoは、その後のパーソナルコンピュータ、インターネットの源流となり、IT革命の出発点となりました。そして、ここが重要な点なのですが、現状のITはまだまだ問題だらけで、ダグが考えていた「人間の知性を高める」レベルのものに達していません。そこで、私たちは毎年12月9日を「ITday(IT記念日)」と定め、全世界で一斉に「ITdayシンポジウム」を開催し、「どうすれば人間の知性を高めるITを開発できるか?」ということについて議論するととともに、そうした優れたITを活用して、実際にみんなで理想的な未来社会「IT市民社会」を創造していきたいと考えています。こうした「ITday」の活動趣旨に賛同される方は、ぜひご参加ください。
当日は、The Demoのビジョンを再確認するとともに、以下の3つのソリューション提案を行い、具体的なシステム開発を目指します。
①断片情報しか発信できないチラシWWWから価値ある知識を配信できるブックWWWへ
②知性を高める「本」と「ノート」と「会話」をデザインする
③AIプッシュ配信でコミュニケーションを活性化する
現在のインターネットの最大の問題点は、断片的な情報がなんの脈絡もなく膨大に飛び交っていることです。しかも、その中からどれを選ぶか、どの情報が正しいか、価値があるか、安全かどうかといった一切の判断を、すべてユーザーが自分自身でやらなければなりません。この状況は、明らかにユーザーとって負荷が大きすぎます。もっとユーザーの負荷を軽減し、安全安心快適にインターネットを活用できるような劇的なイノベーションが必要です。
第一に改善すべきは、断片的な情報のフローばかりでなく、きちんと整理され付加価値の高い知識のストックにアクセスできるようにすることです。どうすればいいか? そのヒントは「本」にあります。本の構成要素、「表紙」「目次」「本文」「脚注」「索引」「奥付」は、すべて任意の情報への効率的なランダムアクセスを実現するITです。そして、「図書館」もまた、本を体系的に整理し、任意の情報への効率的なランダムアクセスを実現するITなのです。
これに対して、現在のWWWは、膨大なファイルを未整理なままハイパーテキストリンクしたものであり、いわば膨大なチラシの集合体のようなものです。チラシの集合体のままでは、断片的な情報は扱えてても、体系的な知識を扱うことができません。したがって、私たちが体系的な知識をシェアできるようになるためには、まずはWWWがチラシ型からブック型へと進化する必要があります。
第二に、人間の知性を高めるためにはどうすればいいか? その答えは、私たちがどのようにして知性を身につけてきたかを考えれば、一目瞭然です。鍵を握っているのは、オンラインにおける「本」と「ノート」と「会話」のベストなコンビネーションです。
第三に、ユーザーの負荷を軽減し、安全安心快適にインターネットを活用できるようになるためには、個人個人の知識活動やコラボレーションをサポートするようなAIアシスタントが必要です。将来的には、アップル社が1988年に発表した「ナレッジナビゲーター」に出てくるような、優秀なエージェントの開発を目指すべきでしょう。