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第1回「ITday Japan 2019」(2019/12/9 )開催概要

12/9(月)、御茶ノ水デジタルハリウッド大学にて、ダグラス・エンゲルバートThe Demo 51周年記念「ITday Japan 2019〜IT監視社会か? IT市民社会か? それが問題だ〜」を開催しました。
冒頭、NHKスペシャル「消えた弁護士たち 中国“法治”社会の現実」と「天安門事件 運命を決めた50日」( https://bit.ly/2PeyBLD )を紹介し、人権派弁護士を突然拉致し、ロボトミー化する中国“法治”社会の非人間的な実態、天安門事件で多くの人民を虐殺した現中国政権が、香港市民に妥協することなどあり得ない、それが我々が直面している現実である。を紹介しました。

続いて、人間社会のような複雑な事象を理解し、問題解決をする鍵は、ジョブズの「Think Different」(発想を変えよう)にある。では、どう発想を変えたらいいのか? その答えは、レオナルド・ダビンチの「システム思考」(既存の常識にとらわれず、あらゆる物事を関連性・つながり・文脈で捉える思考法)にあるということを、NHKスペシャル「ダビンチ・ミステリー 第2集 “万能の天才”の謎〜最新AIが明かす実像〜」( https://bit.ly/2RLFPID )を引用しながら解説しました。

昨年の「IT25・50」シンポジウム( https://bit.ly/349y9Te )で、アラン・ケイは、「エンゲルバートはシステム思考をしていた」と語り、「人間・教育・メソッド・言語・道具を結合し、システムとして機能させる」ことで「人間の知性を高め」「協働して人類が直面する深刻な問題解決をはかるべき」と言っていました。その意味を理解することが、今喫緊の課題なわけです。しかしながら、The Demo( https://bit.ly/2rsS1DD )から51年経っても、未だに我々はそれを実現できていません。

ダビンチ、エンゲルバート、アラン・ケイ、ジョブズは、「システム思考」によって世界の本質を理解し、理解しているが故に世界を変える極意を体得していました。では、「システム思考」を体得するには、どうすればいいのでしょうか? そのヒントは、晩年のジョブズが与えてくれています。それは、「Technology(技術)と Liberal Arts(藝術)の交差点」( https://bit.ly/2sgXeyk )に位置することが不可欠だということです。残念ながら、日本の政治家、官僚、企業経営者には、そのどちらもが欠落しています。ジョブズは、日本文化(禅・職人芸・美意識)にその極意を発見し、優れた製品・サービスを創造し、アップルを時価総額世界一に導いた。一方、我々日本人は、近代化の過程で日本文化を大切にせず、方向性を見失いダメになってしまっているのです。

続いて、具体的にどう人間社会を「システム思考」で理解したらいいか、その一例としてアラン・ケイに触発されて、高木が考えた「コミュニケーション・アンプリファイア・システム(CAS)」理論を紹介。人々が「力を合わせる」ということは「同期すること」で、人々は「同期」に「感動」し「共感」を覚えることで、経済活性化するシステムの中で生きている。したがって、単純に財政難だからといって、増税したり、社会保障費を削るのはナンセンスであり、また、コミュニケーション・アンプリファイアに繋がらない税金の使い方は、結果的に社会システムの衰退、破壊につながる。

600万年前に誕生したといわれる人類は、599万5000年の間、30人くらいの集団で狩猟採集生活をしていた。その間、子育ては集団で行い、マンションの一室で母親ひとりに任せきりにするといったような愚かなことはしていなかった。子供は集団の中で存分に遊び、遊びの中から生きる術を学んでいたのである。5000年前に文字を発明し、外部記憶装置を得たことで、人類は飛躍的に進化。祭政一致という同期システムによって古代国家を形成した。その後、500年前のグーテンベルク革命で、情報の大量複製・情報の価格破壊が可能となり、一般の人々が情報を共有できるようになった。そして、その結果として、宗教改革、産業革命、市民革命が起き、市民社会が実現したのである。一方、50年前に始まったIT革命は、パーソナルコンピュータ革命は実現したものの、まだパーソナルインターネット革命は実現していない。人類の知識活動を飛躍的に進化させた「本」「図書館」という外部記憶装置に相当するものが、まだインターネットでは実現していないのである。

インターネットは、情報の大量複製・情報の価格破壊によって、本来「IT市民社会」を実現するはずのものだ。しかし、現状のインターネットは、GAFAや投資家、政府のためのものとなっており、一般市民はまったく非力なままである。だから、中国共産党一党独裁政権のような時代遅れの組織がITをほしいままにし、「IT監視社会」へと向かいかねない事態となっているのである。こうした事態を打開するためには、断片的な情報しか伝えられない現状のチラシ型WWWから、人々の知識活動に役立つブック型WWWへの大転換が不可欠である。

1984年、MacintoshはCM「1984」とともに登場し、「パーソナルコンピュータ革命宣言」を行なった。

2019年「「ITday Japan 2019」は、「CAS理論」「WWWの再発明」「The Internet for the Rest of Us」の3つの提案によって「パーソナルインターネット革命宣言」を行うという内容のプレゼンテーションを行いました。

続いて、ジャーナリストの服部桂さんの司会のもと、 AIエンジニアの園田智也さんに加えて、Zoomを通じて、大阪・緑会の高橋望さん、大分ハイパーネットワーク社会研究所の青木栄二さん、東京神田MOSAのテクノロジーライター大谷和利さんが参加し、 ITday Japan」実行委員会代表の高木利弘の6人で、パネルディスカッションを行いました。

「ITday」事務局では、今後とも、ダグラス・エンゲルバートThe Demoが開催された1968年12月9日を「ITday(IT記念日)」として、毎年12月9日に全世界的に「ITday」シンポジウムを開催し、一般市民による一般市民のための「IT市民社会」実現に向けて活動を続けていく予定です。「ITday」の活動趣旨にご賛同いただける方は、ぜひ、ご参集ください。

「ITday」とは何か?

システム思考

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