「ITday」とは何か?
「ITday」は、IT革命の出発点となったダグラス・エンゲルバートの「The Mother of All Demos(すべてのデモの母)/The Demo(ザ・デモ)/The Big Demo(ビッグデモ)」が1968年12月9日に開催されたのを記念して、毎年12月9日を「ITday(IT記念日)」と定め、全世界で一斉に「ITdayシンポジウム」を開催し、エンゲルバートが提言した「どうすれば人間の知性を高めるITを開発できるか?」ということについて議論するととともに、そうした優れたITを活用して、実際にみんなで理想的な未来社会「IT市民社会」を創造してゆこうという活動です。
The Demoで一番有名なのは、この時世界で初めて「マウス」でコンピュータを操作したことです。これが、それまで専門家が独占していたコンピュータを一般人に解放する契機となり、パーソナルコンピュータ革命の出発点となりました。
実は、もうひとつ重要な点があります。それは、エンゲルバートが「A research center for augmenting human intellect(人間の知性を高める研究の核心)」というテーマを掲げ、NLS(oN-Line System/オンラインシステム)というオンライン・マルチユーザー・コラボレーション・システムをデモしたことです。The Demoが行われたのは、1969年にインターネットがスタートする一年前でしたが、その時すでにインターネットの将来あるべき姿・理想型を示していたのです。それに比べて、現状のインターネットはどうでしょうか? 人間の知性を高めるレベルに達しているでしょうか? ぜんぜん達していません。それどころか、フェイクとヘイトが蔓延し、知性を高めるどころか、低めているような状態です。オンラインでマルチユーザーが協働して、人類が直面する複雑で深刻な問題を解決できるようにもなっていません。つまり、The Demoは決して古い昔話ではなく、私たちがこれから目指すべき未来を指し示してくれているのです。そこで、The Demoでエンゲルバートが掲げた未来の理想的なIT社会を「みんなで一緒に実現しましょう!」と提案し、その活動を世界的に広げていこというのが、この「ITday」のミッションなのです。