③パーソナルインターネット革命
最後に、「パーソナルインターネット革命」についてお話したいと思います。
1984年、Macintoshは、CM「1984」とともに登場し、「1984年は小説「1984」が予想したようにはならない」すなわち「ビッグブラザーに人々が支配される専制的な社会にはならない」。なぜなら「Macintoshが登場するから」といった「パーソナルコンピュータ革命」宣言をしました。そして、その結果、誰もがスマートフォンという名のパーソナルコンピュータを手にすることができるようになりました。しかし、そのスマートフォンで接続するインターネットの世界は、まだまだ全然、パーソナルになっていません。エンゲルバートがThe Demoを行なった時代、コンピュータといえば部屋全体の大きさの大型コンピュータか、大型冷蔵庫サイズのミニコンピュータのことで、とても高価で操作も難しく、国家や大企業、専門家のためのものでした。当時、やがて個人が使えるようになる時代がやってくるなど、想像できた人はほとんどいませんでした。今日、インターネット、わけてもWWWは、GAFAや投資家、国家のものであり、やがて、それが個人が自在に使えるようになる時代がやってくると想像できる人はそう多くないかもしれません。しかし、過去の歴史から推測できるように、もし、パーソナルインターネット革命を実現したいと強く願う人々が結集し、本気で実現しようとすれば、実現不可能なことではないのです。ということで、2019年、「ITday Japan 2019」は、ここに高らかに「パーソナルインターネット革命」宣言をします。
最後に、私が発見した「IT(情報技術)発達史の法則」についてお話します。「文字・画像」「映像」「コンピュータ」「Web」いずれの場合も、最初は「断片」的なものから始まり、次いで「巻物」的なものになり、「ランダムアクセス可能」なものへと進化するという法則があります。「文字・画像」の場合、最初は粘土板(楔形文字)や亀の甲羅・獣骨(甲骨文字)といった「断片」に記録し、次いでパピルスや木簡・竹簡といった「巻物」に、そして、ランダムアクセス可能な「本」に記録するようになりました。「映像」の場合、最初はキノーラのようなパラパラマンガのようにして閲覧する「断片」、次いでフィルムやビデオテープのような「巻物」、そしてDVDやブルーレイのような「ランダムアクセス・メディア」へと進化しました。「コンピュータ」の場合、最初はパンチカードのような「断片」、次いで紙テープ、磁気テープのような「巻物」、そして、CD-ROMやDVD-ROMのような「ランダムアクセス・メディア」へと進化しました。そして、Webの場合も、最初はファイルのような「断片」、次いでTwitterやFacebookのタイムラインのような「巻物」へと進化。「ランダムアクセス・メディア」であるKacisは、本来であれば「巻物」の次に登場するはずのものでした。この「IT(情報技術)発達史の法則」から明らかなように、次世代WWWは、間違いなく「ランダムアクセス性」が桁違いに高いものであり、かつ、「マルチメディア」性の高いものになるはずです。たとえば、テレビ番組のように、いつでもどこでも見たいときに見ることができない時代遅れのコンテンツも、いつでもどこでも見たいときに見ることができるようになり、しかも、シーンごとのランダムアクセス性も飛躍的に高まっているでしょう。そして、従来バラバラだったITはクラウドに集約され、クラウド上でどうやってランダムアクセスの高い形で収納し、さまざまなクライアント・デバイスごとに、どうやって最大パフォーマンスで活用できるようにするかが、これからのIT開発の主戦場となります。